ニュージーランドの地震では、語学学校があった6階建てのビルがもろく崩れ去った。専門家はビルのバランスの悪さが被害を拡大させた可能性を指摘する。

 ビルは、前面のフロア部分は倒壊したが、背後の階段とみられる部分は残っている。建築研究所国際地震工学センターの斉藤大樹上席研究員は、階段部分がフロアに比べて極端に強い構造を持っていたため、「ねじれ振動」と呼ばれる現象が起きた可能性を指摘する。

建物の1カ所だけが強い構造を持っていると、地震のとき、そこを中心に回転するような現象が「ねじれ振動」だ。ねじれ振動によって同じ建物でも構造の弱い部分が振られ、そこに被害が集中する。阪神大震災のときでも、ねじれ振動で被害が拡大したことが確認されたという。

 名古屋大の福和伸夫教授(地震工学)も「壊れる前の建物を見ると、柱はそれほど太くないように感じられる。倒壊した部分は、大きなねじれが限界をこえ、重さを支えきれなくなったのかも知れない」と話した。

 一方、岡田恒男・東京大名誉教授(耐震工学)は「一つの建物に見えても、構造的に別々のものの可能性もある」と指摘。「二つにわけて建築した可能性もある。倒壊した部分は柱とはりの接合部のつくりが、しっかりしていなかったのかもしれない」

 このビルがいつ建造されたかはわからない。ニュージーランドは耐震基準が厳しく、活断層の周りの建築規制もあるが、古い時代の建物は、最新の基準に適合していないことも少なくないという。岡田さんは「近代的な建物のようにも見えるが、旧基準のときに建てられたものではないか」という。こうした問題は「既存不適格」と呼ばれ、阪神大震災でも問題となり、日本だけでなく、世界中の地震国で課題となっている

 植村善博・佛教大教授(自然地理学)によると、1931年に起きたマグニチュード(M)7.9の地震を契機に、35年に建築物の耐震基準が強化された。だが、それ以前に造られたれんがや石を積んだ耐震性の低い建物も多く、文化財の教会もこれに該当する。

 一方、今回の地震はM6.3で、昨年9月のM7.0の震源に近いが、これまで余震のない空白域で、活断層にひずみがたまっていたとみられる。大木聖子・東京大助教(地震学)は「最大余震」との見解を示し、今後も余震は続くとみる

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震源浅く直撃/昼、弱い地盤/耐震改修遅れ

 ニュージーランドで起きたマグニチュード(M)6・3の地震は、昨年9月に現地で起きたM7・0の地震より規模が小さかったのに、多数の死傷者や建物が倒壊する甚大な被害をもたらした。なぜ被害が拡大したのか。専門家は今回の地震がクライストチャーチの中心部直下で発生し、耐震基準の想定を超える揺れになったことなどが原因とみる。(大矢博之)

 ◆阪神大震災超えた

 防災科学技術研究所の青井真・地震観測データセンター長によると、今回クライストチャーチを襲った揺れは震度6強~6弱と推定されるという。

 昨年9月に現地調査した東大生産技術研究所の清田隆准教授によると、昨年の地震のエネルギーは今回の約16倍。だが、震源がクライストチャーチから西に約40キロ離れていた。

 今回は震源が市の中心部近くで、深さが約5キロと浅い直下型。地震のエネルギーが減らずに街を直撃したため、揺れの強さを表す最大加速度は昨年の3倍以上、阪神大震災の値を超えたという。

 日本でも平成15年7月26日に宮城県で発生した地震はM6・4だったが、震源に近い同県東松島市と美里町で、震度6強を観測。重傷者51人を含む677人のけが人が出たほか、住宅の全壊1276棟、半壊3809棟の大きな被害が出た。青井センター長は「規模が小さい地震でも、都市の直下で起きれば被害は拡大する」と話す。

 ◆まだ残るダメージ

 市街地の直下型地震に加え、地盤の特徴や発生時間も被害を拡大させた。

 昨年9月に現地調査した東京電機大の安田進教授によると、クライストチャーチは河川のそばにあるため地盤が軟弱で、ニュージーランドでも比較的揺れやすい地域とみられる。昨年の地震では、大規模な液状化現象も発生し、家が傾くなどの被害も出ていた。

 昨年の地震で倒壊した建物は、レンガ造りが中心だった。しかし、今回は市の観光名所の大聖堂などレンガ造りの建物のほかにも、鉄筋の建物も壊れている。

 安田教授は「昨年の揺れや、その後に続いた余震で建物がダメージを受け、弱くなっていた可能性がある」と指摘する。

 また、多数の死傷者が出た理由について、清田准教授は、「前回の地震は、午前4時半と朝の暗い時間帯だった。今回は昼間で人の活動時間帯だったため、被害が大きくなった」とみる。

 ◆発生想定外の地域

 地震国ニュージーランドの耐震基準はどうなっているのか。クライストチャーチに家族が住む京都大学防災研究所の田中仁史教授は「ニュージーランドは日本や米国と並び、世界のトップクラスの耐震技術を持つ」と語る。

 ただ、ニュージーランド国内でみると、クライストチャーチは地震の発生頻度が非常に少ない地域とされていた。そのため設計時の想定震度が低く、日本の耐震基準の5、6割に設定されていたという。

 ニュージーランドでは1992年と2008年に耐震基準が改定された。改定のたびに基準は厳しくなったが、改修が進まない現状があるという。

 「お金の問題で、新しい基準の建物の新築か、歴史的建造物の耐震改修が優先され、一般の古い建物の改修は進まない。これはニュージーランドでも日本でも変わらない」と田中教授は指摘する。

 田中教授は「想定外の揺れが襲えば、どこでも悲劇が起こりうる」と強調。「経験を通じて、建物の設計などを改善していく必要がある」と話している。

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ニュージーランドは日本と並ぶ世界有数の地震国で過去にも大きな地震が発生、その度に建物の耐震性が強化されてきた。しかし、クライストチャーチは英植民地時代の面影が残る古都で、耐震性の低い古い建物も多い。直下型で震源も5キロと浅く、地震の規模に比べて大きな被害をもたらしたようだ。

 「崩れた建物の大半は鉄筋の入っていないれんが造りだ。古い建物は地震の少ない英国の技術で造られている。首都ウェリントンのような新しい都市では、これほどの被害はなかったのではないか」--。同国出身の建築家、ピーター・ボロンスキーさん(49)=京都市=は指摘する。

余震のない空白域で、活断層にひずみがたまっていたとみられる。大木聖子・東京大助教(地震学)は「最大余震」との見解を示し、今後も余震は続くとみる

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1件のフィードバック »

  1. ○○泰男 より:

    固有振動派の問題じゃないの?
    うちの段ボール製の猫ハウスも、ももとさくらが大暴れして壊したよ☺
    あ、それはももが重たいせいだよね☺

    • TokyoTimeTravel より:

      去年の9月地震でのひび割れが発見できず、破壊されたのではないだろうか?
      鉄筋や鉄骨が見当たらないし、スラブ筋も見当たらない。何が世界一の耐震基準だというのか?不適格建築物だったかもしれない。

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